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厳重拘禁囚 鮎川壬姫37 藤村アスミ ミキ&リサインタビュー編

37

”最後の仕事”のために与えられたのは、アスミも初めて足を踏み入れる場所だった。
さほど広くない空間。
中央は巨大な鉄格子で仕切られていた。
面会所…らしき構造ではある。
ただし、アスミのいるのは檻の外。
つまり管理区域外であった。

アスミは部屋の隅で、返却された私服に袖を通す。
先ほどまで身に着けていた緊身衣とはまるで違う着心地。
肌触りも滑らかで、いたって清潔。
拘束感も、まして変な臭いも一切ない。
けれど、身体に馴染みきった囚人服を手放すのはアスミにとって胸苦しいことだった。
アスミは大きな溜息をついた。

あの囚人としての日常はもう終わり…。
苦痛に喘ぐ少女囚とともに受けた懲罰。
厳しく自由を奪う戒具、全裸での緊縛。
管理プラグに犯され、鞭の恐怖に怯える毎日…。

最高の被虐感。
今までの快感が鮮明に蘇る。
本物の囚人である彼女たちには申し訳ないとは思うけれど…。
そう、自分の秘めたる望みが、確かにここで叶えられた。

許されることなら、いっそこのまま本当の囚人として…

「あぁ、だめだめ…」
アスミは、用意されていた椅子に座り込むと大きく頭を振った。
そしてハッと息をのむ。
規律違反…。
その言葉が頭をよぎる。
…。
…。
…。
「何も…おこらないんだ」
身体拘束もなく、監視をする刑務官もいない。
どのような行動を取ろうとも、叱責されることもない。
もちろん鞭打ちも。
今の自分の立場は、一般人そのものだ。
「うん…。もう終わりなんだから…」
そう呟きながらも、熱く疼き続ける股間の火照りをアスミは感じていた。

「藤村さん。着替えは終わりましたか?」
つい先ほどまで、緊身衣姿のアスミに鞭を打ち込んでいた矢代刑務官が現れる。
アスミは咄嗟に顔を伏せた。
さすがに恥ずかしさがこみ上げる。
「お、終わりました。」
わざとらしく靴の爪先をトントンと床に打ち付けながら答えるアスミ。
矢代は俯くアスミに近づき、肩にそっと手をかけた。
「潜入取材とはいえ、本当に騙されてしまいましたね」
溜息混じりに矢代は呟く。
「は…はい…。一部の刑務官以外には正体を明かさないということにしてもらいました」
アスミはまだ目を合わせずに、小声で答える。
矢代もその一人。
つい先ほどまでは、まさに囚人と刑務官という関係。
多少の気まずさを感じる。。

「…それにしてもこれだけの長期間、ここでの囚人生活に耐えるとは大したものです」
手にした鞭を空打ちする矢代。
「私の鞭は如何でしたか」
部屋の隅にある椅子に腰掛け、矢代はグイッと制帽を深く被りなおした。
「は、はい、…気持ちよ…じゃない…ッ、かなり…き、厳しかったですッ!」
「え?」
矢代の眼鏡が光る。
アスミは慌てて言葉を続けた。
「あの、こ、ここでの囚人の処遇をリアルに体験できて、それで、その、レポートにも
 深みが増すというか、その…」
「まぁそうでしょうね。今の今まで、私も本気でしたから」
矢代は緩めた鞭をピシッと両手で引っ張り、乾いた音を室内に響かせた。

「ですが…。藤村さん」
立ち上がった矢代が壁のスイッチを押す。
鉄格子の向こうに広がる殺風景な空間が照明に照らし出された。
「これからここに連れてくる4等級囚の二人。彼女たちは、これからも厳しい罰を
 与えられ続ける”本当の囚人”ですよ」
アスミは息をのんだ。
そうだ…。
自分はあくまで仮の存在。
でも、これから向き合う少女囚は…。

「葛城、連れてきなさい」
矢代が鉄格子の奥に向かって呼びかける。
それと同時に、葛城に引き立てられてきた二人の少女囚がその姿を見せた。

アスミが目にしたのは、先ほどまで運動場の檻の中で責め苦を受けていた少女囚たち。
今は緊身衣ではなく、白い素肌にキッチリと縄をかけられている。
彼女らのその姿に、アスミは再び息を飲んだ。
自分が縛られる時はもちろんだけれども…。
他人の緊縛姿、それも可愛らしい…と言えるほどの少女たちの、そのような姿を見るのも
十分に感じてしまう。

アスミが初めて刑務所のレポートを行ったときには、ここまでの厳しい拘束をされたまま
取材に応じた囚人はいなかった。
それだけに、この厳重拘禁棟の厳しさというものが伺い知れる。
まして彼女たちは4等級囚。
最も過酷な処遇だ。
まだ席に着くことを許されず、立ったままの少女たちをアスミは無言で見つめた。

「彼女たちが4等級囚です。左がA01。右がA02」
矢代が簡単に説明を行い、セットされた撮影機材をチェックした。
「この場所なら良いでしょう。カメラはここから動かさないでください」

保安上の理由だろうか。
それでも比較的囚人に近い場所への設置ができた。
音声が拾いきれるかやや不安だが、却って潜入取材のリアリティが出せるかもしれない。
アスミは矢代に軽く礼をすると、再び番号で紹介された二人に向き合う。
以前も何度かこの少女囚たちとのニアミスはあった。
今日の”運動”でもその姿を確認できたが、こうして間近でじっくりと見るのは初めて。
どういう意味で矢代が「興味深い」としたのかはわからないが…。

A01とA02。それぞれの番号で呼ばれた少女囚たち。
まだ座ることを許されず、厳重に縄で縛められた哀れな姿で、健気に正面を向いて立っている。
胸をギュッと強調するように絞り出され、腕を後ろに回された上半身。
その先端はツンと上を向き、微かに震えているのが確認できる。
あそこは金属の器具が填め込まれ、識別票が取りつけられていたはず。
…。
アスミは、あの識別票の装着は経験したことがなかった。
彼女たちはどれだけの屈辱と、どれだけの苦痛を味わったのだろう。
赤く腫れ、プクリと勃ったままの乳首。
彼女たちのそれは、恥辱にまみれたその瞬間を静かに物語っているようでもある。
アスミは、妙に呼吸が苦しくなるのを押さえ、自分の胸に両手をそっと当てた。

運動場へと引き立てられる彼女たちの姿が、鮮明に思い起こされる。
悲しく喘ぐ、塞がれた口元。
完全に自由を奪う首手枷…。
そして、乳首に取りつけられたまま、揺さぶられる鎖。
…。
…。
今は一時的に一般人の姿となっているアスミ。
もちろんこの薄いブラウスの下には、しっかりと胸を保持する下着を着けている。
けれど、自分の先端までもがジンと熱く疼く感覚だけはわかる。
あれをつけられたまま…。
多くの人の目に晒されて…。
アスミは、自分のその哀れな姿を想像してしまった。
目の前の少女たちは、そのあまりも恥辱的な仕打ちにさらされた直後。
一旦収まりかけていた股間の疼きまでもが、再び…。

「(……。今は駄目、早く取材を…)」
アスミは両手で髪を掻き上げ、鉄格子の向こう側にいる葛城に声をかけた。
「は、始めても、よろしいでしょうか…?」
葛城はゆっくりと頷いた。
続けて少女囚たちに命令を出す。
「座りなさい」
二人は用意されていた小さい特殊な椅子に腰を下ろした。
背もたれのない丸椅子。座面は磨き上げられたように冷たく光るステンレスだ。
実に囚人用の椅子らしいとアスミは感心する。
ここの設備は、常に囚人に対して一切の快適性を排除する徹底ぶり。
アスミもそれを身をもって体験している。
最高レベルのセキュリティ環境の中で味わう、最低の屈辱。
あらゆる場面で味わうこととなった被虐感が思い出される。

葛城は縄のかかり具合を改め、縄尻を天井から吊り下げられている鎖に繋ぎ留めた。

アスミの視線は、自然に彼女らの太腿の付け根に移る。
綺麗に剃り上げられた割れ目に沿って、吸い込まれるように這わされた黒縄。
その場所は、今まさに”責め”られて続けている状態。
腰を捩らせ、辛そうに顔をしかめる二人の少女は、一体何を感じているのだろうか…。

「少々お待ちください、いま脚を拘束します」
葛城が二人の足首に枷を嵌めた。
これも保安上の理由…なんだろう。
少女らしい、華奢で綺麗な脚に取りつけられる、冷たい金属の環。
あまりにも無慈悲なアクセサリーだ。
作業を終えた葛城が部屋の奥に下がり、簡易的なデスクの前にゆっくりと腰掛けた。
目線で合図が送られる。
いよいよ開始だ。

「え…と、はじめまして。私はここに収容されている方々を取材中の、藤村といいます」
アスミは努めて平静を装い、鉄格子を隔てて座る少女囚たちに声をかける。
「A01です」
「…はう、A02…です」
思いのほかはっきりとした声での返事。
音声録音にも支障はなさそうだ。
アスミは続ける。
「もしよろしければ、お名前を聞いても良いですか?放送はしませんので」
これは前回も行った手だて。
やはり直接話をする場合には、名前を聞いていた方がやりやすい。

「鮎川壬姫、といいます」
「巽リサ…です、はぅ…」
ミキとリサ。
覚えやすい名前だ。アスミは自分の名字だけしか明かしていなかったことを思い出し、
慌ててフルネームを名乗った。
「では最初にお聞きしますが……」

アスミの取材は順調に進んだ。
彼女らの生い立ち、罪名や残りの刑期などが、二人の口からぽつりぽつりと語られる。
その途中でお互いに驚いた顔で見つめ合う場面も見られた。
今まで自分の罪名や犯した事件について、語り合うことを禁じられていたという。

リサは泣いていた。
恥ずかしくてお姉ちゃんに顔を合わせられないという。
「お姉ちゃん…ですか?」
「いえ…わたしがリサからそう呼ばれているんです。ここでは、4等級囚はわたしたち
 だけなので…。リサ…。泣かないで。大丈夫だよ」
リサは目にいっぱいの涙を溜めていた。
それをなだめ慰めるミキ。
本当の姉妹のようでもある。
もちろん後ろ手に縛られている二人は、涙を拭うことも拭ってやることもできない。
その様子を見て、アスミは咄嗟に自分のジャケットに手を入れる。
「ゴメンなさい…。辛かったですよね。はい…これで…」
アスミは鉄格子の隙間から折りたたんだハンカチを差し入れた。
「はぅ…」
なんとかリサの顔に届く距離。
アスミは葛城や矢代の様子を窺ったが、これに関してはOKのようだ。

「では、話題を変えますね…。答えたくなければ、無理をなさらずに、ね」
「はい」
「はぅ…」

ミキは”お姉ちゃん”と言われるだけのことはあり、受け答えがかなりしっかりしていた。
一方リサの方は、ちょっと頼りない感じ…か。
アスミは、ミキからリサにという流れを作っていた。
困ったリサをすかさずフォローするミキ。
その姿を微笑ましく思うアスミ。
取材はさらに続いた。
これから聞くのは、いよいよここの処遇についてだ。

「ここでの生活は、とても辛いとは思いますが…」
最初にミキを見つめ、問いかける。
ミキは、最初は言い淀んだものの、淡々と答えてくれた。
管理プラグの屈辱。
一切の自由が許されない戒具。
懲罰衣と緊身衣に身を包まれる、苦しさと恥ずかしさ。
繰り返される毎日の懲罰。
そして今まさに自分の施されている緊縛について。

「…でも、どれもこれも、わたしは受け入れなければならないと思っています。
 ここでの辛く苦しく恥ずかしい日々が、わたしのできる償いです…ので…」
ミキは、最後に視線を落として呟くように声を絞り出した。
歯を食いしばり、後ろ手に縛られた腕を振るわせ、戒められた両脚が細かく震えている。
白い太腿に、彼女の涙が次々にこぼれ落ちた。

これがまさにアスミの望んでいた画像。
本物の囚人にしか見られない悲壮感だ。
まずい。
アスミは再び心臓の高鳴りを覚えた。
ミキに対しては本当に不謹慎で申し訳ないけれど…。
その姿、その声。
萌えてしまう。
どうしよう。

「お…お姉ちゃん…」
今まで静かに目を閉じてミキの話を聞いていたリサが、耐えかねてついに口を開いた。
「はぅ…藤村さん…、ゴメンなさい、もう…もういいですよね…!!?」

まではぅはぅを繰り返すだけだったリサ。
けれど今のその表情は真剣。
血の繋がりのない”姉”のことを本気で心配している顔だ。
…まずい。
さらにアスミの鼓動がその速度を増す。
緊縛姿の美しき少女囚たち。
そこに垣間見える儚げな”姉妹”愛…。
これまでとは違うタイプの、最強レベルに近い萌えシチュエーションだ。

「お姉ちゃん…」
リサはスッと立ち上がり、1mほど離れて座るミキのもとに歩み寄った。
両足首に嵌められた鉄枷。それを繋ぐ短い鎖がジャラリと音を立てる。
「あ…ッ、リサさん、駄目ッ…!」
アスミは思わず叫ぶ。
自らの囚人生活経験から、咄嗟に出た警告だった。
このような勝手な行動は許されることではない。
規律違反とされ、追加懲罰の対象となる。
後ろで控えていた葛城が、ガタンと椅子を突き飛ばすようにして立ち、二人のもとへ
駆け寄った。

葛城がピーッ!と笛を長く鳴らし、リサの身体を後ろから羽交い締めにする。
「勝手な行動を取ることは許可していません!座りなさい!」
リサに葛城の厳しい叱責が浴びせられる。
「はぅ…、は、離してッ!お姉ちゃんが、だってお姉ちゃんが…泣いてるもん!!」
リサは激しく身体を捩らせて抵抗した。
全身に這わされた縄が、ギシギシと軋みながらリサの身体を締め上げる。
それにもかかわらず、ミキの近くへと行こうとするリサ。
そしてそれをグイッと押さえる刑務官、葛城。

やはり、リサと葛城との体格差は明らかだった。
抵抗を続けていたリサだったが、次第に力を失うかのように大人しくなり、そして椅子に戻された。
ぜぃぜぃと肩で息をし、その目には一杯の涙を湛えている。

「リサ…、ごめん。今のはわたしが情けなかったのがいけないよね…」
ミキがポツリと言った。
「はぅ…、お姉ちゃんの、ばかぁ…。あたしだって、お姉ちゃんみたいにお話できるもん。
 お姉ちゃんが答えるのに辛くなったら、かわってあげようって思ったのに…」
縛られた後ろ手をしっかりと葛城に握られたまま、リサは俯きながら呟く。

その興奮を収めようと、反対側の手で葛城はリサの頭をそっと撫でていた。
「リサさん…。あなたの気持ちもわかります。…だけど規律違反はいけませんよ。
 明日の追加懲罰を命じます」
「はぅ…」
すっかり気落ちしたのか、リサはがっくりと項垂れた。
「待ってください、今のはわたしが…。だからリサではなく、追加懲罰はわたしに…ッ」
必死にリサを庇うミキ。
しかし葛城は無言で軽く頭を横に振った。
「それは無理。違反したのはこの子です。規則は規則…。諦めてください」
溜息混じりに葛城はミキを制する。
ミキは悔しそうな表情を隠すように再び俯いた。
その姿を見たリサが、喉を詰まらせながら言う。
「うん…。お姉ちゃん、葛城さんの言うとおりだよ…。ありがと…、ごめんね。
 やっぱりあたしバカだから、バカなことやっちゃったみたい…はぅ…」


きゅん。
アスミの感情が、また大きく揺さぶられた。

思いがけないハプニングだった。
感情を抑えきれずに、規律違反を犯してまで姉を庇う妹。
厳しく制しながらも、その後は暴れた少女囚をたしなめる刑務官。
しかし非情にも規則として言い渡される処分。

すすり泣き。
乱れる息。
軋む縄に、擦れる鎖。

これも最高の映像だ。
演出では得ることのできない、息を飲む萌え展開。
二人の少女囚は、その縄に戒められた身体で、何を感じているのだろう。

アスミはしばらくの間、彼女らの様子をじっと見守っていた。



「…すみません、ちょっと意地悪な質問でしたね…。」
しばらくの間をおいて、アスミは二人に向かって言った。
取材の過程とはいえ、とんでもない事態を引き起こしてしまい、罪悪感に苛まれる。
「…。いいえ、わたしの心の弱さが原因ですから…」
スッと顔を上げたミキが答えた。
「はぅ…。あたしも…。藤村さん、ごめんなさい。大切な取材なのに…」
リサもそれに呼応するかのように、アスミに謝罪した。
原因を作ったのは自分。
けれど、二人はこうして頭を下げている。
囚人としての立ち振る舞いを、日頃から叩き込まれているせいなのかもしれない。

きゅん。きゅん。
どうしてこうもこの二人は続けざまに萌え攻撃を仕掛けてくるのか。
拘束されたまま、しかも股縄を這わされた姿だというのに、あまりにも健気な二人の少女囚。
アスミは次第に自分の心を奪われていくような錯覚に陥る。
矢代の言っていた”興味深い”というのはこういうことなのか。
確かに…、ミキとリサ。
この二人には、囚人としてだけではない、何か特別な魅力を感じてしまう。
ドキュメントには最適の素材だ。
…この二人の行く末を。
戒めや鎖から解き放たれるまでを、追い続けるというのも悪くない。

アスミは、戻ったら織部に相談を持ちかけようと心に決める。
そう。
もしかすると、再びここで取材を続けることができるかもしれない。






残された時間は少ないようだ。
席に戻った葛城が、アスミへ自分の腕時計を数回指さして合図を送ってきた。
アスミは了解の意を込めて頷き、二人に向き合った。
大きく息を吸う。
「では最後の質問…。ここの刑務官の方たちについてお聞きしたいのですが…」
ミキは俯いていた顔を反射的に起こした。
あれ…?
アスミは一瞬この部屋の空気がふと変化したのを察した。
一身に視線が集まるような感覚。
矢代と葛城が同時にわざとらしい咳払いをする。

「あ…あなた達4等級囚さんは、二人の担当刑務官のお世話になっているそうですね」
「は、はい…」
「はぅ」
アスミは続けた。
ミキの顔が少し強張っているような気もするが、時間がないので続ける。
新人刑務官の仕事ぶりについても、取材をしなければならない。
「あなた達が今縛られている縄、それは向こうの刑務官の方に施されたのですか?」
「はい…そうですけれど…。葛城さんです。」
軽く鼻をすすりながらミキが答える。
「葛城刑務官は新人の方ということで、縛られ心地…とでもいうのでしょうか、
 その縄の感触は、どのようにお感じなのですか?」
「えッ…」

何かまずい質問でもしたのだろうか。
アスミはミキの予想以上の動揺ぶりに少し戸惑った。
確かに担当看守立ち会いのもとなので、多少は気まずいかもしれないけれど…。
こういう率直な”生の声”というのも是非聞いておきたいポイントだ。
後ろで座っている葛城刑務官は、心なしかソワソワしているようにも見える。
もちろんいつもの”保安上の理由”もあるのだろうけれど、
明らかにさっきよりも、こちら側に目を向ける回数が多い。
自分の評価は、やはり気になるところなのだろう。
もちろん今までのやりとりの中で、ある程度の予想はつく。
きっとミキは、無難にコメントをまとめてくれるに違いない。

そういう確信もアスミにはあった。
「き…、緊張感…というか…その…。痛くて苦しいけれども、優しさを感じるというか…」
斜め下に視線を反らし、ミキはゆっくりと言葉を選びながら答えているようだ。
うん、理想的な優等生の答え。
厳しさに隠れた優しさあり…、か。
これも良い。まだ非情に徹することが苦手な新人刑務官らしいエピソード。
アスミはうんうんと頷きながらミキの話に耳を傾けていた。

「でも、あたしは早瀬さんに縛られた方が好き。うまいもん」

時間が止った。

あたし何か変なこと言った?
というキョトン顔をしたリサが、辺りを見回してパチパチとまばたきをしている。

「あわわわッ!バカリサ!ちょっとまって!あぅ、あぅ…今の無しです、無し!!」

優等生だったはずのミキが、リサのトンデモ発言にスッと顔色を変えて取り乱す。
「(…空気読んでよッ!この状況で…だいたいあなたは聞かれてないでしょう!)」
「(はぅ~…だってほんとなんだもん…。それにやっぱりあたしもしゃべりたいし…)」

先ほど見せてくれた姉妹愛って…。

後ろに控えていた葛城の目が光ったような気がした。
背後では矢代の吹き出す声も聞こえる。

「あ、あの…。それはどういうこと…ですか?」
アスミは取り込み中の二人に割りこんで質問を重ねる。

「い、いえ…あのその、早瀬さんのが気持ちいいとか、あわわわ、そうじゃなくて、
 その…葛城さんのが痛いとか、上手くないとか、そういうことで、じゃなくて、あぅ…」
すっかりミキは大変な状態。
完全に混乱している上に問題発言連発だ。
「あぁそうだった、お姉ちゃんもそう思っているんだもんね」
そしてリサの火に油を注ぐ発言。
「いや、それはッ!ちがいます、そんなことは…!」
ぶんぶんぶんと音がしそうなほどの勢いで首を横に振るミキ。

アスミは一度軽く咳払いをして、再び口を開いた。
このままでは、彼女らの身の安全に重大な支障を及ぼすことになりかねない。
話題を変えなくては。
「あ、あの、それでは別の…」

「はい、そこまで。時間です」
アスミの言葉が遮られた。淡泊な口調で、葛城が終了を告げる。
「あわわわわわ…」
小刻みに震え、ゆっくりと後ろを振り返るミキ。
そこには爽やかな笑みを浮かべた葛城が立っていた。
「さぁ、A01さんもA02さんも…、自分の”お部屋”にもどりましょう…ね?」
「は、はぅ~」
ようやく事の重大さに気づいたリサは、再び涙目になってミキの顔を覗き込んだ。
ミキはがっくりとうなだれる。
アスミには、それが何かの覚悟を決めた表情にも見えた。
「確か先ほど、私にも追加懲罰を…ということを言ってましたね…。A01さん?」
ミキは力無く微笑みながら、一度だけ頷いた。





「はぅ~…」
リサの小さな叫び声とともに、二人の4等級囚は葛城に連れられて再び反対側の扉から
その姿を消した。
このあとの彼女らの処遇についてが気になる。
アスミはゴメンと、誰もいなくなった空間に軽く手を合わせた。

「やはりプロですね。素晴らしい」
様子を黙って見ていた矢代が、短い拍手をしながら近づいてきた。
「あ、ありがとうございます。ただ、あの二人には悪いことをしちゃった気が…」
これは真面目に本心から。
アスミはフゥと溜息をついた。
きっとあの後には、素敵なお仕置きが待っているに違いない。

「葛城は気にしていますからね。…まぁ、最後のドタバタを除けば、的確に囚人たちの
 心情をふまえた良いインタビューだったと思いますよ」
矢代は設置された機材を片づけ始める。

「あ、大丈夫です。これは私の仕事ですから…」
アスミは立ち上がろうとしたところ、矢代がそれを制した。

「忘れていませんか?私は最後まであなたを”本当の囚人として扱う”と言いましたが」

ドクン。
え…?

「あなたの取材期間は確か後2日ほど残っていますね。引き続きプロ意識というものを
 見せてもらいたいものです。」
「はい…」

ドクン。ドクン。
アスミの鼓動が、激しさを増す。

矢代は続けた。
「さぁ、特別な時間は終わりです。今すぐその服を脱ぎなさい。監房に戻りますよ」
ピシィ!と響く矢代の鞭。
それを合図にアスミの中で何かが切り替わる。

「は、はいッ!!申し訳ありません、今すぐに…!」
アスミは慌ててパンプスを脱ぎ、そして身に着けていた私服を脱ぎ捨てていく。
明るい色のジャケット。
純白のブラウス。
久しぶりに身に着けたブラ。
そしてスカート、ストッキング。
矢代は無言でそれらをカゴの中に放り込んでゆく。


「何をしているのです。それも脱ぎなさい」
ショーツに手をかけたまま止っていたアスミの背中を、矢代が鞭の柄で小突いた。
「はい…」
ずる、ずる…。
アスミはゆっくりと、肌触りの良いショーツを引き下ろしてゆく。
「…やはりそうなっていましたね」
矢代の眼鏡が光った。
「はい…」
アスミの局部を覆っていた布には、べっとりと粘液の海が広がっていた。

「さぁ、その壁に手をつき、足を広げて立ちなさい」
矢代の命令。
再び生まれたままの姿に剥かれたアスミは、静かに目を閉じてそれに従った。
「何か言うことは」
矢代がアスミの背中に向かって呼びかけた。
ぎゅ、ぎゅっと、ゴム手袋を嵌める音が静かな空間に響く。

高鳴る鼓動。

「…肛膣検査………願いますーッ!!!」

アスミは、冷たい壁に突き立てた両手に力を込めて思い切り叫んだ。

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