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厳重拘禁囚 鮎川壬姫36 ミキ&リサ 野外運動終了 特別面会?編

36

猛烈な疲労感。
屋外での”運動”をようやく終え、集中懲罰室の仮檻に戻されたわたしは、気を抜くと
意識が曖昧になるほどの目眩に襲われていた。
緊身衣に首手枷、そして乳首への識別票という恥辱的な姿を、多くの囚人達の目に晒され、さらに炎天下の運動場での、延々とした歩行運動の強制。
葛城さんの手によって、責め場所の増やされてしまった管理プラグ。
そして…結局振り下ろされることとなった鞭。
あのとき葛城さんが矢代さんの鞭を止めにかかったのは、
自分こそが4等級囚の担当だ、という意識が働いたから…ということらしい。

結果的に矢代さんの鞭からわたしを救うこととなったので、高いポイントも…
ということも、つかの間の休憩中に教えてくれた。
うーん…。
どうも葛城さんの言うポイントというのがよくわからない。
早瀬さんと争っているそうだけれど。
それはこっちの話と軽くあしらわれて、再び防声具を噛まされ、それ以上は聞けなかった。

とりあえず、あの一件はわたしが多くの囚人の目の前で鞭打たれる姿を見せないように…、
という配慮からではないということがわかった。
そこまで甘くはない、ということ。
葛城さんだからそれも頷ける。

事実、あの後観月さんに匹敵するほどの強烈な鞭を葛城さんから受けることとなった。
あんな反則的な装具の追加されたプラグを装着されてしまっては、
はっきり言ってまともに”運動”になんかならない。
…うぅ、今も結構痛みが残っている。
緊身衣を脱がせてもらった後に、確認してみよう…。
葛城さんは鞭の扱いは矢代さんが…なんてことを呟いていたっけ。
そして緊縛術では、早瀬さんに一歩譲ることを自分で認めている葛城さん。
今日のこの懲罰は緊縛や鞭の腕を磨くための、良い機会だったのかもしれない。
わたしたちは真面目な葛城さんの、良い練習台、ということだったのかな…。

「お疲れ様。よく頑張りましたね」
葛城さんは先ほどまでの刑務官らしい厳しい口調から、いつもの穏やかな声に戻る。
「久しぶりの外の空気はどうでしたか」
わたしの首手枷を外しながら、葛城さんが問いかけてきた。
…残念ながら、すがすがしく晴れ渡った青い空の元、新鮮な空気を胸一杯に吸い込んで…
なんてことはできませんでしたッ。
こんな不自由な体勢を強いられていたものだから、指先が痺れて肩も痛い。
それに防声具を噛まされていたし、鼻から吸い込む空気は汗や体液をたっぷりと吸い込んで、
緊身衣の革の臭いを混ぜたような、とんでもなく淀んだもの。

これもわかっていて聞いているのかも。
ちょっと意地悪な質問。
どんどん早瀬さんに似てきたような気もする。
「うー…。うー…」
わたしは少しの抗議の意も込めて、少し低めに声を漏らした。
ようやく外された枷を床に下ろすと、葛城さんは緊身衣に包まれたわたしの身体を
そっとさすりながら続ける。
「鞭は痛かったですか?」
改めて聞くまでもないことのような気がする。
打ち込まれるたびに激しく身体を仰け反らせ、呻き声をあげるわたしたちの姿を
一番間近で見ていたのは葛城さん自身だし…。

おまけに力の加減という意味では、葛城さんにその概念が欠落していたようにも思う。
矢代さんを”容赦ない”とまで言い切った、その根拠を知りたいところだ。
「うーぅ」
とりあえず言葉が出せないのを良いことに、もう少し適当に返事をする。
とにかく早くこの口に入っているものを取ってもらって、
汗でべたべたになった緊身衣を脱がせて欲しい。





リサはわたしよりも一足早く戻されていた。
隣の檻の中に収容されている。
終了してからの移送は葛城さん一人で行っていたので、リサが連れられて行ってから
結構な時間を外の檻の中で待たされてしまった。
リサは既に戒具やプラグなどを外され、全裸での緊縛を施されている。
わたしと同じように疲労困憊の様子だけれど、一応よい子にして座っているようだ。
防声具は…、やっぱり嵌められたままか。
今日のところはリサと話ができる余裕は無いかもしれない。

…外檻の中での待機というのも、地味にキツかった。
リサの戒具を外し、緊身衣を脱がせ、縄をかけて…という作業もあったから、
正確にはわからないけれど十五分以上はかかったと思う。
葛城さんが言うには待機…だけれど、確実にあれは放置プレイってやつだ。
もちろん、わたしがリサを先に戻すようにお願いしたから文句は言えないけれど…。
続々と3等級囚が棟内に戻される中、ずっと拘束姿のまま檻の中。
おまけに丁寧にも全員が一度わたしの檻の前を通って戻されていくものだから、
見られたい放題だった。まさに見せしめ。

同じ囚人なのに、哀れみの視線をむけられたり、顔を背けられたり…
もう散々な気分。
矢代さんは面白がって鉄格子越しに、鞭の柄でツンツンしてくるし。
この胸につけられた識別票と、首手枷のおかげで”晒し者気分”を十分に味わうことができた。
…これはやっぱりわたしで良かったのかもしれない。
リサだったら耐えきれるかどうか。
…その小さな胸で。
…いや、それは違うか…。

ともあれ、わたしもようやく戒具が外され、プラグを引き抜かれた。

ぬぷ…。
くちゅ…。

かなり恥ずかしい音とともに、わたしの下腹部はようやく圧迫感から解放される。
管理プラグのバッテリー駆動は侮れない。
なにしろ、今の今までその動きが継続していたから。
考えてみたら、移送されてきたときも、ほとんど挿れられっぱなしで2日間…。
慣れていなかったせいもあるけれど、相当回イかされてしまった。
よっぽど高性能のものが搭載されているのかもしれない。
本当にここの刑務所は、高い技術力をアレなことに注ぎ込んでいる。

「これはなかなか効果的だったみたいですね。観月さんに報告しておきましょう」
葛城さんはついさっきまでわたしの中に入っていた器具を、じっくりと手にとって
眺めていた。
…効果的というのは、あの”ほかの場所”にも刺激が加えられる装具のこと。
タイミングはともかく、もともと装着するつもりだったのだろう。
そしてその結果が、めでたく観月さんに伝えられることとなったようだ。
聞いていない。
というか今知った。
効果的と判断されたのだから、たぶん正式採用決定…でしょうね。
明日からの楽しい管理プラグライフに、新たなお友達が登場…か。
あはは…。
…うぅ、笑えない。

”実験対象”はわたしだけだったのかな。
あのタイミングで取りつけられたのは偶然だったのかもしれないけれど、
調査のためというのなら、さりげなくリサのプラグにも装着したのかもしれない。
後でリサ本人にも聞いてみたいところだ。

…でもなんといって聞いたらいいのかな。
クリ…。
いやいやいや、それはあまりにも直接的。
だいたいあの子自体アレを知らなかったら自爆だ。
「おねえちゃん、○○○○○って、なぁに??」
なんて真顔で聞き返されたら気まずい。
その可能性は十分に考えられる。
でも回りくどい言い方で、天然なリサに通じるだろうか。


…。
…。

そんな馬鹿なことを考えている間に、背中の拘束ファスナーが下ろされて、ようやく
上半身を緊身衣から解放してもらうことができた。
「外しますね」
乳首に取りつけられていた装具とともに識別票が外される。
すっかり先端が赤く腫れ上がっている。

こりこり。
こりこり…。

ぁ…!
はぅ…ッ!!
また!!

やっぱり…ッ。
葛城さんは”これ”がどうも最近のお気に入りらしい…。
「うーーーー」
わたしは変な呻き声をあげながら、咄嗟に数歩後ろに下がった。
い、今はこんな状態…。
さすがにちょっと勘弁してほしいです…ッ!!

狭い檻の中。
すぐにわたしは鉄格子によってそれ以上の後退を止められる。
というか、また思いっきり頭を打ち付けてしまった。
まだ脱がされていない安定の悪いブーツのせいで、余計に足下がよろける。
そのままわたしは床にへたり込んでしまった。
「ああ、大丈夫ですか?」
葛城さんがものすごい恰好になってしまったわたしの腕を引っ張る。
「腫れていたもので…」
そういうところを刺激するのは、逆効果だと思います…。
葛城さんは、真顔で凄いことを口走った。
今日の葛城さんの暴走レベルは昨日の早瀬さんと良い勝負のような気がしてくる。
そんなところまで張り合わないでもいいのに…。

「葛城、今大きな音がしたけれど何かありましたか?」
しかも最悪のタイミングで矢代さんの登場…。
すでにもう鞭に手をかけている。
「いえ…。もう解決しました」
葛城さんは敬礼をしながら、しれっと言った。
あぅ…。
解決とか、まるでわたしが問題を起こしたような言い回しをしないでください…。
わたしはリサ並みの涙目で、葛城さんに訴える。
何を勘違いしたのか、葛城さんは軽く微笑んで手を振ってくれた。
全然通じてない…。
勘の鋭さはやっぱり早瀬さんに一歩譲るのかな…。

「…まあ良いでしょう。あなたの担当囚ですからね」
矢代さんは怪訝な視線を檻の中のわたしに向けつつ、葛城さんの肩に手を乗せた。
「それでは、先ほどの件を。こちらは準備完了です」
「わかりました。A01の処置の終了までお待ちください」
葛城さんがピシッと敬礼をする。
矢代さんはわたしを一瞥したあと、思い出したかのように葛城さんに話しかけた。
「…それと、今の状態でコリコリ弄るのはさすがに可哀想です。ほどほどに」

…なんだ…。
やっぱりしっかりと見られていたのか…。
矢代さんはそう告げると踵を返し、再び集中懲罰室の外に出て行った。
残された葛城さんと再び目が合う。
あ…。ちょっと頬が赤くなっているかも。
「な、何を見ているんですかッ。A01!」
はぅ!
そして葛城さんまで番号呼称ですかッ…。






その後わたしは更衣所に連れられて行き、ようやく緊身衣と保護ブーツを脱ぐことが
許された。大量にかいた汗や革の臭いがどうにも気持ち悪かったけれど、軽くシャワーで
洗い流してもらう。
全身の火照りが落ち着いたところで、縄をかけられた。
時間的には、それぞれの独房に戻される頃だ。
これから仮檻の中にいるリサと繋がれて、また12階へ…となるのだろう。
今日は結局一度も話すことができなかった。
…。

独房に戻されたら、消灯時刻までは”反省時間”とされる。
ほぼ30分おきにある巡回。同時に戒具のチェックも行われる。
もちろん、その時には正しい第1姿勢をとらなければ規律違反。
食事や排泄の時間もあるけれど、基本的には「座る」「立つ」以外の行動が全て禁止。
懲罰ではないにせよ、何もしない、何もしてはいけない状態を強制されるのも辛い。

わたしと同じ年頃の子たちは、きっと放課後の開放感に浸っている時間だ。
部活に汗を流したり、友達と遊んだり…。
思い思いに自由な時間を楽しんでいることだろう。
でもわたしは冷たい壁に囲まれた監房の中に一人。
戒具で自由を奪われた姿のまま、何をすることも許されない。
激しい孤独感と切なさに押しつぶされるような気持ちになる時間だ。
懲罰による肉体への責め苦の後に待つ、精神的な責め苦。
実はこれもなかなかキツい。

「リサさん、出ますよ」
葛城さんがよい子にして座っていたリサを檻から出した。
リサの後ろ手から伸びる縄がわたしの腰に巻かれ、移送準備完了。
また夜までの長い孤独な時間が始まる…のか…。
はぁ…。
口が塞がれているので溜息が出ない。…不便だなぁ。

「今日は監房に戻る前に、別の場所に行きます」
え?
珍しい。こんなことなんて今までなかった。
この状態で告げられたと言うことは、リサも一緒なのかな。
リサも驚いたのか、わたしの方を振り向いて首を傾げた。

そう言えばさっき、矢代さんと葛城さんが何か話していたっけ。
先ほどの件がどうとか…。
別の場所…。それがどこなのかはわからない。
「ついてきなさい」
葛城さんが縄を引いた。
ぺた…。ぺた…。と回廊を進むわたしたち。
いつもはここで上層階へのエレベーターに乗ることになるのだけれど、そこを通り過ぎる。
そのまま、下の階へ向かう階段ホールにわたしたちは連れられていった。

1階に下り、見慣れない場所に通される。
ここは初めて来る場所…かな。
とても殺風景な、待合所のような場所だった。
やはりというか、囚人用の檻がきちんと用意されているのが悲しい。
檻は1つだけだったので、またわたしとリサは一緒に入れられるようだ。
ずっと無言だった葛城さんが、わたしたちをベンチに座らせると同時に口を開いた。

「ここで受刑生活を送る囚人の取材ということで、収容されている囚人に直接話を
 聞きたいというレポーターがいるのです」

…え…。
それってこの前聞いた…、あのレポーターのこと…??
「今回は、あなた達にその役を引き受けてもらうことにしました。勝手に決めてしまい
 ごめんなさいね。」
葛城さんはわたしたちの防声具を外してくれた。
今回はかなりの長時間だったので、たまっていた涎がたっぷり零れてしまう。
「発声許可。ただし、レポーターの質問にだけ答えること。自分から話してはいけません」
葛城さんは他にも、自分と矢代さんがこの取材に立ち会うこと、
撮影もされるが、放送時には音声と画像に加工が施されることなどを教えてくれた。

「はい…。わかりました…」
とりあえずそう答えるけれど、どうしよう。
自分の姿が、声が…。
もちろんわからないように加工がされるといっても…。

「はぅ…、お姉ちゃん…。どうしよう…。はずかしいよぉ…」
リサも同じ気持ちか…。そうだろうな。
とりあえず、聞かれたことに答えるだけならなんとかなるかもしれない。
これも自分の罪に向き合う、一つの試練…かな。
こういうのはきっとリサは苦手だと思う。
安心させてあげなくちゃ。
「リサ、大丈夫。困ったら全部わたしが答えるから」
リサはぶんぶんと頭を縦に振った。
「ぐす…。でもあたしも…ちょっと…がんばってみる…」
変に頑張りすぎてトンデモないことを口走ったりしないのかが心配。
でも、少し気持ちが和らいだみたい。

そうだ、もう一つ聞いておきたいことがある…。
「…葛城さん、わたしたちはこのままの姿で取材を受けるのですか…?」
以前の移送時には、一般人の目に触れそうなときに特殊な衣服で覆ってもらった。
もちろんその姿も異様ではあったけれど、戒具をつけられた姿は目に触れないような
配慮をされていたように思う。
今回も相手は一般人だ。
今の姿…。つまり全裸で緊縛姿。
このまま引き合わされるのかどうかが気にかかる。

葛城さんは軽く咳払いをして答えた。
「そのままです」
…。そうですか。
撮影もされるっていってたっけ…。
刑務所内だけでなく、全国的に晒し者決定なのですね…。
あぅ…。
「ですが、レポーターの藤村さんは、ご自分もここで囚人としての生活を送っていました。
 あなた達のそういう姿は、見慣れておられると思うので…恥ずかしがらなくても良いです」
そう、たしかそのように聞いていた。
進んでここでの懲罰を体験しているって。
どんだけ変態なのか知らないけれど…
その藤村さんが見慣れているとか、そういう問題でもないような気がする。

全国のお茶の間に全裸緊縛少女囚の姿…。
前代未聞の大反響を引き起こしちゃいますッ!!
あぅあぅ…。

リサの方を見るといつにも増して涙目だ。
「お姉ちゃん…うぅ、やっぱりこわいよう…」
突然降ってわいたようなイレギュラーなイベント…。
リサが混乱するのも無理はないと思う。
わたしだって…。




「葛城、連れてきなさい」
そしてついに、奥から矢代さんと思わしき声。
「行きますよ。頑張ってくださいね」
わたしたちは、パッと明かりの点された奥のスペースへと引き立てられていった。

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