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厳重拘禁囚 鮎川壬姫5 黒縄緊縛股縄編



「移送囚4名、出ます!!」
葛城さんの声が響いた。
移送囚とはわたしたちのこと。
護送車、航空機、そしてまた護送車。
辛い「長旅」だった。

特に空港を降りてからの護送が大変だった。
ろくに睡眠も食事も与えられない状況で、姿勢を維持するというのには無理がある。
気をつけていたけれど、何度も管理プラグの「お世話」になってしまった。
回数が増えるたびに、作動時間も長くなっているようで、
ついさっきの懲罰では、おそらく1分以上も突き上げられたと思う。
そして口に噛まされた防声具がとても不快だ。
懲罰中に、思いっきり声を出すことができれば、多少なりとも苦しみが軽減できると思う。
それすらも許されない。おまけに溜まった唾液がどうしても零れてしまう。
それは冷たい一筋の線となって、わたしの緊身衣の胸元を濡らした。
拭おうにも、檻の中で鎖に繋がれている身ではどうすることもできない。

通気悪い檻の中は、気温も上がり革や汗の臭い、そして他の分泌物の臭いが充満する。
きっと家畜小屋よりも酷いありさまだ。
…いや、家畜以下の扱いかも。

とにかく施設に到着したということで、この護送車からは降りることができる。
もうこんな護送は勘弁してもらいたい。


わたしたちは順番に引き立てられていくようだ。
「A01番」
遠くからわたしの番号が呼ばれる。
戒護官に捕縄をつけられ、護送車からゆっくりと降ろされた。

待ちかまえていたのは、厳しい顔つきの女性刑務官。
目深に被った制帽からかすかに覗く視線は、私たちを鋭く貫くようだった。
30代半ばくらいだろうか。葛城さんよりもかなり落ち着いた印象を受ける。
黒革のロングブーツに黒いストッキング。そして手袋を嵌め、鞭を持つ立ち姿。
180cmはあろうかという高い身長も相まって、その威圧感は凄まじい。

続けざまに他の3名も番号が呼ばれ、わたしたちは横一列に並べられた。
防声具のベルトだけが緩められ、箝口具である革の装具が引き抜かれた。
さらにだらしなく、溜まっていた唾液が漏れ落ちて床を濡らす。
「以上移送囚4名、引き渡しを完了します」
「了解。引き渡しを確認しました」
葛城さんの報告、短いやりとり。
そして彼女はすぐにこの場を後にしたようだった。

沈黙。
高身長の刑務官は、右手の鞭をピシピシと左手に軽く打ち付けながら、
緊身衣姿で震えながら立つわたしたちの周りを一巡する。
その様子はまるで品定めをするかのようだ。
ブーツの固い足音と、わたしたちの小さな吐息だけが響き渡る空間。
張りつめた緊張感が場を支配する。

一段高い場所に戻った刑務官がおもむろに口を開いた。
「貴様らは、たった今からこの厳重拘禁棟の囚人となった」
女性にしては低い声。静かだが耳にずっしりと響く。
「貴様らには一切の自由が許されないと思え。我々が全力で厳重拘禁刑の執行を継続する」
改めて宣言された。
分かり切っていることだが、こうして然るべき人物からの宣告を受けると現実感がある。


「私がこの棟の管理部長である観月だ。私以下、刑務官の命令には絶対に服従のこと」



ピシィッッ!
ピシィッッ!!!

ーーーくぁ…ッ!
突然の鋭い痛みが全身を走り抜ける。
観月管理部長の手にしていた革鞭の一閃だった。
「聞こえない。返事は『ハイ』しかありえないが」
わたしは一瞬で事態を察した。
長時間の防声具の装着で、まだ違和感の残る口元ではあったけれど、大声で返事をする。
「返事をしたのは貴様だけだな。残りはどうしたッ!」
続けざまに空気を裂く、乾いた鞭音が響き渡る。

ああっ、馬鹿ッ…、早く返事しなくちゃ…
わたしの隣に並んだ3名が次々と激しい打擲に曝された。
崩れるように倒れ込む少女囚が、後ろに控えた刑務官によって無理矢理立たされる。
観月さんが、私の隣の子の目の前に立ち、鞭の柄を彼女の喉元に突きつける。

「やはり聞こえないな。最初から随分と反抗的な子だ。面白い」
いや、どう見ても彼女は怯えている。
護送中にかなりの回数の懲罰を執行され、
精神的にも肉体的も相当疲弊しているのは明白だった。
もちろんそんなことなど刑務官たちも十分わかった上でのことだろう。
しかしこうでもしないと、ここでの規律は保たれないのかもしれない。

他の二人も恐怖と絶望のためか、呻き声をあげて泣いている。

「どうしたッ!A02番ッ!」
観月さんの叫び声とともに、再び鋭い一閃。
「ぅッ…あふぅッ!!!」
革の緊身衣が裂けそうなほどの勢い。
素肌に打ち込まれていたら、まず間違いなく大怪我だ。
「ッ…くぅ………ン……うっぁあああああああああッ!!」
A02番と呼ばれた少女囚は、両眼から大粒の涙を流し、
今までに聞いたことのない声で泣き叫んだ。

到着間もない段階でこの厳しすぎる仕打ち。
でも、いくら私たちが厳重拘禁囚とはいえ、これはひどい。

「返事、返事をしてッ!!!」
思わず私は叫んでしまった。
観月さんの動きが止まる。
「ほう…許可無く発声をするとは…。A01番、貴様良い度胸だな」
グッとわたしの顎が、観月さんによって乱暴に持ち上げられた。
「あ…あの子は怯えているだけなんです、どうか許してあげてくださいッ」
…馬鹿馬鹿、何を言っているんだッ。
こんなことをしたら、わたしだって…

しばらくの間、私は睨みつけられていたように思う。
できるだけ、わたしは哀願の眼差しを心がけた。
「…まぁ良いだろう。貴様もなかなか面白い女囚だ」
スッと力が抜かれ、私は元の姿勢に戻ることができた。
「A01番に感謝することだな。ではもう一度返事を聞かせてもらおう」

あぁ…助かった、のかな。
でも咄嗟のこととはいえ、かなり危険な態度だったと思う。
これでこの先目をつけられでもしたら、本当に洒落にならないよ…。ッ…。

わたしたちは、一人ずつ新入検査房と呼ばれる檻の中に入れられることになった。
護送車の中と比べたら幾分は広く感じるものの、それでも与えられたスペースは
冗談みたいに狭い。
房の中には、手術着みたいな濃い緑色のゴムシートで覆われた固い寝台。
そしてお約束の衝立のない便器。
窓はなく、天井には強化ガラスで覆われた照明が一つだけ点されている。
前方は頑丈な鉄格子の獄扉、他の三方向と床は無機質なコンクリートだった。
左壁の上部には、鎖でつり下げられた手枷、下部には足枷が備えられている。
完全な、牢獄だ。

ここで、ほぼ2日ぶりに緊身衣を脱がされることになった。
管理プラグが外され、尾錠やベルトが緩められていく。
保護ブーツも脱ぐことができた。爪先を自由に動かせる感覚が嬉しい。
しかし、酷い臭いだった。
長時間わたしの身体に密着して締め上げていたそれは、おそらく大量の汗を吸収し、
恥ずかしいけれどいろんな分泌物にまみれている。
そのため一旦清浄に回されるとのことだった。
残念なのは、これを装着されるのは護送の時だけではないらしいということ。
つまり今は一時的に解放されているだけに過ぎないらしい。
もっとも急に厳しい束縛から解放された今の感覚は、
身軽すぎて逆にちょっと不安だった。
すっかり緊身衣に慣らされてしまったようで、悔しさを感じる。

全裸に剥き上げられた状態で、わたしは仮拘束を命じられた。
壁に備えられた鎖に手足を繋がれる。
大きく股を広げられた姿でバンザイ状態での固定。
そして識別票の装着。

これはこれでとても惨めだ。
他の少女囚たちがすべて同じ状態となるまで、このままだそう。

手首が鉄枷に擦れて痛みを覚える。
少しでも痛みを抑えようと動かしてみると、檻の外の刑務官から大声の叱責。
やはりここでも自由に動くことは許されないようだった。
呼ばれるまで、ひたすらに待つしかない。

「A01番」
「は…はいッ」
意識を失いかけていたわたしは、反射的に返事をする。
観月さんの声。気が付くと鉄格子の向こうに立っていた。
「時間だ。これから此処での処遇について説明を行う」

わたしたちは順番に全員が檻の外に出されることになったようだ。
鎖を外され、その代わりに緊縛を施されるという。

わたしは今まで、腰に巻かれる捕縄ぐらいでしか縛られた経験はない。
あれは縛られるというよりも、縄を巻きつけられるくらいの感覚だ。
逮捕の時も、裁判の時も、いつも手錠とセット。
勿論気分の良いものではなかったけれど、特に苦しさを感じたことはない。

だけど、目の前には見るからに長い黒縄を持った刑務官が立っている。
そしてわたしは、いまだ全裸に剥かれたまま。
…緊身衣とはまた違う全身拘束が施されるのだろう。
これって、結構な恐怖だ。

鞭をちらつかせる観月さんの指示で、緊縛が始められた。
縛りの担当は、かなり若い刑務官だった。
葛城さんと同じくらい、かもしれない。
だがその縄捌きには相当の慣れを感じさせる。

わたしはまず両腕を後ろに回された。
手首の固定だ。
金属の手錠とはまた違う、がっしりとした拘束感に襲われる。
次に縄は上半身へ。
二の腕から乳房の上に通された縄は、背後で少しずつ締め上げられていく。
そして乳房本体へ。ぐいっと絞り出されるように入念に縄掛けが進められた。
「あッ………ふぅッ…!…ッ!」
不覚にも声が漏れる。…まずい。
案の定、即座に観月さんの視線がわたしに向けられた。
今は緊身衣を装着していない。だから鞭打ちは、無いはず。
頭ではわかっているけれど、先ほどの光景がフラッシュバックする。

これほどまでの恐怖を感じるなんて。
あの人の威圧感は相当なものだ。
そして、明らかにわたしは睨み付けられている。
…やっぱり、あのときは対応を間違ったのかもしれない…ッ!

だけど…後悔してももう遅い。
とにかく今は平静を装わなければ。

しかし、厳しく掛けられた縄に絞り出された乳房の先端が
わたしの意に反して固く屹立していく。
…うッ…何故…ッ?

観月さんは、その様子を見逃さなかった。
縄を操る刑務官を制して近づくと、わたしの今一番敏感な部分を乱暴に鞭の柄で弾く。
「…識別票を外されたとたんに、この固さ。口だけじゃなく、ここも随分威勢がよいのね」
わたしはとにかく俯き、固く目を閉じた。
あぁ、これってかなり目をつけられた状態というんじゃないだろうか…
ホントにわたしの馬鹿!
入所初日にして、ブラックリスト入りだ。

「早瀬、続けて」
観月さんは若い刑務官に何やら耳打ちをし、その場を離れた。
乳房を絡め、菱形にかけられた縄は、すでに腰まで届いていた。
わたしの上半身は、今までに経験したことのない猛烈な拘束感を感じている。
「あぅ…………ンッ!!」
さらに縄は信じられない場所にまで通されはじめた。
…股間だ。
「なッ…ちょッ…、ぃや…ッ………ーッ!!」
さすがにわたしも身体を捩って抵抗する。
こんなところにまで縄を通すなんて、正気の沙汰とは思えない。


ピシィ!
「A01番!動くなッ!」
激しく床を打ち据える鞭。
「股縄ごときで情けない声を出すなッ!!」
観月さんの激しい怒号が飛ぶ。
わたしは瞬間、身体を固めて立ちすくんだ。

…ありえない。
わたしは股に通された2本の縄に目を落とした。
性器に当たる部分にはコブがあり、黙っていても鈍痛を伴いながら執拗に責められている。

わたしは縄目の恥辱に悶えながら、説明が行われるというホールへと引きたてられた。

ぺた…。
ぺた…。

しっかりと縄尻を捕まれながらの歩行。
保護ブーツも歩きにくい拘束具だったけど、
裸足のまま冷たい床を歩かされるというのも本当に情けない。
促されるまま、冷たい階段を昇る。
一歩踏み出すごとに、股縄が意地悪くわたしの性器に食い込み、
その刺激でたびたび身体のバランスを失いかけた。
思わず喉の奥から声が漏れかかる。
だけど、先を行くのは、あの観月さんだ。
この人の近くで、これ以上情けない声を出すわけにはいかない。

四方を無機質なコンクリート壁に囲まれたホールには、不快な熱気がこもっていた。
既に力のない夕日が、数少ない高窓に嵌め込まれた鉄格子越しに微かに差し込んでいる。
その広い空間の中央に、4つの扉の開かれた鉄檻が設置されていた。
もちろん、わたしは緊縛姿のままその中に押し込められる。
観月さんから「早瀬」と呼ばれた刑務官が、
わたしの縄尻を後部の鉄格子にしっかり結わえ付けた後、勢いよく鉄扉を閉める。
そして即座に施錠。
「A01番、収容完了!命令があるまで待機!」

早瀬さんの号令が響く。
一少女囚のために、ここまで一切の妥協なき一連の拘束作業。
厳重拘禁に処されたという現実を、文字通り肌身で感じる。

鉄檻は非常に狭い作りとなっていた。立ったまま入っていろということだろう。
わたしは他の少女囚の到着まで、正面に立つ観月さんと目を合わせないように足下へ視線を落とした。
全裸での緊縛。おまけに股縄姿。周囲は鞭を手にした刑務官が取り囲む。
激しい無力感と屈辱感。悔し涙がこみ上げる。
でもここで打ちひしがれた姿を見せるのは、どうしても癪だった。
…我ながら損な性分だと思う。

遠くから足音が聞こえてきた。
他の少女囚も引き立てられてきたのだろう。
わたしは涙に濡れた顔を大きく左右に振り払い、様子を窺った。

……ッ!?
隣の檻に収容された少女囚の姿を目の当たりにして、わたしは愕然となった。
グレーのワンピース状の衣服。
手足には拘束具が施され、鎖を腰の革ベルトに繋がれているものの、
彼女が身につけているのは紛れもなく囚人「服」だ。
裸足ではない。きちんと布靴も履かされている。
彼女は檻の中で刑務官から肛膣検査を受けていたが、
そのときには白い下着が足首まで下ろされていたのが見えた。
少なくとも、通常の着衣を許されていることは明白。

検査を終え、下着を元に戻された隣の少女囚も、
わたしの全裸で縛り上げられた姿を見て、言葉を失ったようだった。
これは…いったいどういうことだろう。

鉄格子を隔てて、わたしとその子はしばらく無言で向き合った。
同じ囚人同士、いまさらこんな姿を相手に晒すことくらい恥ずかしいとは思わない。
だけど、全てを剥ぎ取られ、股縄の辱めを受けている自分。
衣服を身につけた彼女。
あまりにも扱いに差がありすぎる。

その後に連れられてきた少女囚たちも、彼女同様に簡素な囚人服を身に纏っている。

確信した。
これはわたしだけに施された処置。
わたしだけ…わたしだけ、こんな…ッ!?

黒縄に縛られた身体が、震えだした。

「ご…ごめんなさい…ッ、さっき…、わたしのせいで…、」
耐えきれなかったのだろうか、隣の少女がむせび泣きながら話しかけてくる。
あぁ、馬鹿ッ!
この状況では、はっきり言って危険だ。
もちろんわたしがこのような姿にされたのは、
先ほどの件に関しての「見せしめ」であることは間違いない。
だけど、それは自分の意志に基づいての行動。
別に謝罪などいらない。
機会があれば、後で平手打ちの一つでもお見舞いしたいところだけど。

「(シッ!もういいからッ!)」
できるだけ短く、声をひそめて彼女を制した。
本当に今はもういい。
黙っていて。
ただでさえ今がこんな状況である以上、より事態を悪化させるのはあまりに愚かだ。
わたしは高鳴る心音を感じながら、周囲を窺う。
…まだ4人目の肛膣検査の途中だった。
幸い、会話に気づかれてはいないようだった。

ピーッ!
唐突に響く警笛の吹鳴。
「囚人は全員正面を向き直立不動ッ!」
わたしたちに命令が下される。
それ以上考えを巡らせる間がなかったのは、むしろ良かったかもしれない。





短くて長い静寂の時間。
張り詰めた空気が、冷たく背筋をなぞる。

「では、これよりこの厳重拘禁棟での貴様らの処遇について説明する」
観月さんが、より低く落ち着いた声で切り出した。
わたしは彼女に一瞥されはしたものの、
「この姿」の件には全く触れることなく、淡々と説明は続けられた。

目を引く長身の制服姿。
ぴったりとした黒革のブーツ。
白い手袋、そして一本鞭。

腕章には、おそらくこの施設のものと思われる紋章があしらわれていた。
観月さんのこんな格好には、むしろカギ十字なんかが似合うんじゃないか、
なんて馬鹿なことを思った。

わたしに対してこの処置を命じたのは、彼女しかあり得ない。
本当に、恐ろしい人だ。
…もっとも、刑務官としては大変優秀なのだろう。
囚人に対しての冷酷なまでの厳格さは、確かに規律維持のためには必要だと思う。

だって…


ここは厳重拘禁棟なのだから。


「…ここまでがこの施設の概要だ。これは覚える必要はない。頭の片隅にでもいれておけ」
厳重拘禁棟の設立理由や、基本理念、棟内施設についての説明が終わる。
その間も、一切の姿勢の乱れは許されない。
股縄への食い込みは激しく、当初は感じなかった痛みも徐々に増してきている。
必要以上に強調される形で縛り上げられた乳房も、軽い鬱血状態だ。
おかげさまで、頭の片隅にもその内容など残りそうにない。


こんな責め苦が、わたし一人のみに執行されていると思うと、やはり腹立たしい。
視線だけを横にずらし、隣の少女囚、A02を睨み付けた。
A02は先ほどから説明を行う刑務官以上に、わたしのことが気になるらしい。
すぐにわたしの視線に気づき、申し訳なさそうに目を閉じて
「ごめんなさい」と口を動かす。
…あまりに悲痛な表情。涙が頬を伝いだす。
あぁッ!
もういい、もういい。全くッ。
どうもこういう女々しいタイプは苦手だ。

わたしは視線を元に戻した。
観月さんが、ギュッと帽子を深く被り直す。
「次に本題に入る。貴様らの基本的な処遇についてから…だ」
正面に細かい文字が映し出された。
それは事細かに決められた、ここの規則一覧だった。
冷静に話を聞くことすら不可能なこのような状態では、
文字情報など読んでいられようなはずもない。
わたしは直立不動の姿勢のまま、陰核と性器への突き上げられるような刺激や、
じわりと全身を苛む痛みと戦い続けなければならなかった。

「A01番、どうした」
説明の途中、不意にわたしの番号が呼ばれた。
くッ…、この状態で…。
それは明らかにわたしに向けられた敵意。
ゆっくりとこれ見よがしにブーツの踵を鳴らし、観月さんが近づいてきた。
「貴様の発声を許可しよう。思うことがあるのなら言え」
革鞭の柄が、鉄格子の隙間から喉元に突きつけられる。
「い、いえッ、なんでも…ありません…申し訳ありません…」
わたしは目を反らしながら、祈るようにつぶやいた。

「はぁン、貴様は自分だけが全裸に剥かれていても何も感じないのか」
「ッ…!!ぁぁぁぅ……い、いぃぇッ…」
観月さんの持つ鞭の柄は、わたしの股間に場所を移していた。
股縄の上から、コツコツと固い刺激が与えられる。
「ほう、それでは貴様は何か違うものでも『感じて』いるのか?」
答えに窮する詰問。与え続けられる刺激。
もう、どう返答しようとこの先に待つのはただ一つの責め苦だろう。
…それが狙い?ホントに、この人はまるで中世の拷問吏のようだ。

直後に2本の股縄の間を割り裂いて、柄が進入してくるッ!

「ーーーーッ…!くぁぁぁッ…」
「答えろッ!!A01番!」
「あぁはぁッ…!!…お、お許しくださいお許しくださいッ!ううううぅッあぁ!!!」
わたしの中が掻き乱される。
僅かに残っていたプライドも何もあったもんじゃない。
わたしはただひたすら許しを乞う。
身を捩り、緊縛された裸体を激しく鉄格子に打ち付けて、のたうち回る。










「はぁ、はぁ…っ…  はぁ…っ」
気が付くと、わたしは狭い立檻にもたれかかるようにして崩れ落ちていた。
激しい脱力感。
呼吸は激しく乱れている。
一瞬の記憶の途切れ。

おそらく、わたしは望まない形で「迎えて」しまったのだろう。
これ以上ない最低の屈辱。
「うッ…、うぅぅッ…」
もう自分の置かれた状況など関係ない。
わたしは、ただ、ひたすら咽び泣いた。






……悔しいけれど、嫌というほど自分の立場というものを思い知らされた。
ただ無力なだけではない。
圧倒的な支配力に屈することのみしか許されず、
理不尽な仕打ちにも、ただひたすら許しを乞うことしか許されない。
それが今のわたしだ。

観月さんはわたしが絶頂を迎え、そして泣き崩れる姿に満足したのかもしれない。
不自由な姿勢で床にへたり込むわたしの顎を再び持ち上げる。
革手袋の匂い。冷たい感触。
わたしは恐怖のあまり、小刻みに震えていた。
「情けないな、この程度で崩れるとは」

この程度…、にしては相当な仕打ちだったように思う。
だけど、情けないということに関しては同意だった。
いまだ緊縛姿のまま、股縄の隙間からはだらしなく粘液を滴らせて。
きっと顔も涙でぐちゃぐちゃに違いない。

「貴様らもA01番と同じ目に遭いたくなければ、妙な気を起こさないことだ」
再び立ち上がった観月さんはそう言うと、威圧的に鞭を空打する。
その制帽の下の口元は、微かにニッと笑っていた。

「立て」
観月さんの命令を受け、わたしは縄を緩められることなく再び立たされる。
まだ激しい動悸が治まりきっていない。

観月さんはしばらくわたしが落ち着くのを黙って見届けると、踵を返し元の場所に戻った。
「続ける」
何事もなかったかのような切り替えだ。
再びこの灰色の空間が緊張感で覆い尽くされた。

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